養殖わかめの管理は1年を1回としたサイクルで行われ、
その生産過程を順に分類すると、
「採苗(さいびょう)」、「保苗」、「本養成」、「養成管理」、「収穫」の5つに分かれます。
採苗とは、わかめのめかぶを用いて人工的に遊走子を採苗器に付着させる作業をさし、岩手県の場合は、一般に水温が17°Cを越える7月下旬~8月上旬に行います。
採苗に使用するめかぶを確保します。採苗が行われる日の前日に田老地先の天然の磯場から採取します。
海水を張ったタンクにめかぶを入れ遊走子を放出させます。そこへ採苗器(種糸)を浸し、遊走子を付着させた後、海中に投入します。
採苗用のめかぶ
採苗器(種糸)
遊走子
採苗したわかめ採苗器(種糸)を海中に置き幼葉をそろえて育成させる期間をさします。
7月~8月に採苗したわかめの配偶体は9月に入り水温の下降にともない成熟を初め、水温20°C以下になるころから芽胞体となり始めます。芽胞体が生長し肉眼的になったものをわかめの芽と呼んでいます。
わかめ配偶体
わかめ芽胞体・配偶体
わかめ幼葉
採苗器(種糸)にわかめの幼葉の大きさが1~2cm程度に揃った頃に、沖合施設に巻き込み、本養成用の綱(養殖綱)に巻き付けます。
ワカメの幼葉
幼葉が育った採苗器(種糸)
養殖綱
高品位で均一なわかめを作るためには、適正な水位と密度で養殖しなければなりません。
わかめ養殖の適正水位は、通常3mよりも浅くあることが望ましいとされています。適正水位よりも深く養殖すると、品質の劣化や育成不良の原因となります。
適正な養殖密度は養殖網1m当たりのわかめの本数が140本程度です。この適正な養殖密度にするには、1月頃に間引きを行うことが必要です。
生長中のわかめ
わかめ養殖施設の模式図
間引き作業
田老のわかめは3月に入ると急激に成長し、4月には全長が3mを超えるものも出てきます。刈り取ったわかめは出来るだけ早くボイル加工を行います。
収穫からできるだけ早く加工するために、夜中から電気を点けてわかめを収穫します。